がん患者さんが運動するメリットとは?取り組みやすいトレーニングも紹介

ストレッチ 健康


「がんになったら運動した方が良いと言われたけど、何をすればいいのだろう?」
「どれくらいの強度で運動すれば、体に負担をかけすぎないのかな?」
「運動して得られるメリットって、どんなことがあるんだろう?」

適切な運動は、がんそのものや治療による副作用から生じる、体力の低下を防いだり精神状態を安定させたりする効果があります。

本記事では、がん患者さんが運動をするメリットやおすすめのトレーンングなどを解説しています。

習慣的な運動は、治療後の早期回復も期待できると言われています。さっそく日常生活の中に運動を取り入れていきましょう。

がん患者さんが運動をする3つのメリット

がん患者さんが運動をして得られるメリットは、主に以下の3つです。

  1. 体力低下を防いで日常生活の質を維持する
  2. 精神状態を安定させて不安やストレスを軽減する
  3. 免疫細胞の働きを活性化して免疫力を向上させる

運動によるメリットを理解して、トレーニングに取り組むための目的を確認していきましょう。

1. 体力低下を防いで日常生活の質を維持する

習慣的な運動は、体力の低下を防ぐ効果があるため、日常生活の質を維持できます。

がんになると、がん細胞による身体の痛みや抗がん剤の副作用によるだるさなどで、動きたくても動けない日も多くなりがちです。

安静に過ごす時間が長くなるほど日々の活動量は減少し、やがて筋力や体力が衰えてしまいます。

体力不足は、自立した生活が困難になり日常生活に大きな制限がかかるため、何かをやろうとする意欲が削がれる原因です。

しかし、習慣的な運動で筋力や体力を維持できれば、療養中でも日常生活の質を維持しながら日々を過ごせます。

2. 精神状態を安定させて不安やストレスを軽減する

精神状態を安定させて不安やストレスを軽減するのも、運動を行うメリットのひとつです。

特に、有酸素運動は「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質の分泌を促し、メンタルを安定させて不安やストレスを軽減します。

痛みや倦怠感からくる身体への負担や精神的なストレス、がんに対する漠然とした不安は、気持ちを沈ませることも。

運動を行えば、自律神経のバランスも整いストレス耐性も向上するため、イライラや不安が改善して心の安定に大きく寄与するでしょう。

3. 免疫細胞の働きを活性化して免疫力を向上させる

運動をして体温が上昇すると、免疫細胞の働きを活性化させるため、免疫力が向上します。

体温が1度上がると免疫力は数倍になります。例えば、身体が風邪を引いた際に発熱するのは、免疫細胞の働きを高め細菌やウイルスを撃退しようとしているからです。

また、血流やリンパの流れが良くなると、免疫細胞が体内を効率良くパトロールできるため、がん細胞を発見しやすいというメリットもあります。

※1参考:国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービス.「がんとリハビリテーション医療」.https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/rehabilitation/index.html,(参照2025-05-15).

※2参考:株式会社 同仁がん免疫研究.「がんと免疫力の関係とは?免疫力アップのためにできることや免疫療法について解説」.https://gan911.com/blog/boost-immunity/,(参照2025-05-1).

※3参考:スポーツ庁Web広報マガジンDEPORTARE.「数字で見る! スポーツで身体に起こる気になる「6」つのデータ」.https://sports.go.jp/special/value-sports/post-29.html#an02,(参照2025-05-15).

がん患者さんにおすすめの運動

がん患者さんにおすすめの運動は、以下のものです。

  • 有酸素運動
  • 筋力トレーニング
  • ストレッチ

有酸素運動は、息が少し上がるくらいの「中等度」の強度で、1回30分を週5日ほど行うのが理想です。
ウォーキングや自転車エルゴメーターなどで、毎日少しずつでも良いので続けましょう。

筋力トレーニングとストレッチは、週2〜3日を目安に取り組んでみてください。

トレーニング前には、しっかりとストレッチをします。十分にストレッチができたら、スクワットやもも上げ、腕立て伏せなどの筋力トレーニングを1回10〜20セット行います。

運動を行う際は、体調の変化にしっかり注意しながら取り組みましょう。

※参考:AstraZeneca.「運動について」.https://www.az-oncology.jp/cancer_treatment/exercise/,(参照2025-05-15).

がん患者さんが運動のときの注意点

運動するときには、いくつか注意しなければいけない点があります。

  • 運動開始前に医師に相談する
  • 体調に合わせて無理はしない
  • 定期的に運動内容を見直す

自分に合わせた運動でなければ病状を悪化させる恐れもあるため、運動を始める前に必ず確認してください。

運動開始前に医師に相談する

がん患者さんの状態によっては、運動が適さないケースもあるため、運動を開始する前には必ず担当医に相談してください。

運動が許可された場合は、

  • どのような運動を
  • どれくらいのペースで
  • どれくらいの時間行えばよいか

などを確認しましょう。

適した運動の種類やペースは人それぞれ違うものです。周りと比較せず、自分に合ったものに取り組むことが大切です。

体調に合わせて無理はしない

がんによる発熱や強い倦怠感、身体の痛みなどがあるときは、無理にいつも通りの運動をする必要はありません。

ただし手術後のリハビリは、医師と相談の上、痛みがあってもできるだけ早く開始した方が良いとされています。

早期にリハビリを始めることで手術による合併症の予防や後遺症を最小限に抑え、回復を加速させます。

定期的に運動内容を見直す

取り組む運動は、患者さんの状態に合わせて定期的な見直しが必要です。

例えば、がんの手術後すぐか、しばらくたってからかでは、筋力や体力に大きな違いがあります。

医師や理学療法士と相談しながら定期的に運動計画を見直すことで、自分に最も合った運動に取り組めます。

運動を習慣化してがん治療中も前向きに過ごそう!

運動は、がん患者さんの体力を維持し、生活の質を保つ上で重要です。メンタルの安定にもつながり、治療や病気に対する不安を緩和する効果もあります。

運動の強度は中等度が理想ですが、無理をせず自分の体調に合わせて取り組むことが大切です。

周囲と比べず、医師に相談しながらマイペースに続けましょう。

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