波佐見焼は400年以上の伝統を持ちながらも、伝統だけにとらわれずに新しいものも取り入れながら進化を続けています。
手が届きやすい価格でありながらも丈夫で美しいデザインの波佐見焼は、毎日の食卓をちょっとハッピーにしてくれるでしょう。
波佐見町の隣に位置する佐世保市に生まれ、子供の頃から大人になった今でも使う器はほとんどが波佐見焼の筆者が、「波佐見焼の魅力」や「波佐見焼の歴史」などについて紹介していきます!
波佐見焼の魅力
波佐見焼の器といえば、白磁に美しい呉須(藍色の染料)で絵付けされたものが主流でした。しかし現在の波佐見焼は、さまざまな色の釉薬が使われたり、コップひとつにしてもたくさんの型のものが作られていたりします。
この、時代のニーズに合わせて自由に進化するところが波佐見焼の最大の魅力といえるでしょう。
波佐見焼の魅力を以下の3つの視点から解説していきます。
- おしゃれなデザイン
- 丈夫で扱いやすい
- 手頃なのに高品質
【波佐見焼の魅力】1.おしゃれなデザイン
時代に合わせて自由に進化をし続けることが魅力の波佐見焼。
波佐見焼と有名デザイナーがコラボレーションした「唯一無二」のデザインも多くあり、たくさんの人たちを魅了し続けています。
私が波佐見焼の器で特に好きなものは、白磁に呉須(藍色の染料)で絵付されたシンプルでモダンな作りのものです。
しかし、おしゃれなカタチやビタミンカラーを使った波佐見焼の器も、とても美しくて心を奪われてしまいます。
波佐見焼は、器のデザインやカラーの種類がとても豊富で、料理に合わせて色々と使い分けることができます。
和・洋・中のどの料理にも合わせることができる波佐見焼を食卓に並べることで、いつもの食事風景はとても華やいで、楽しいものになることは間違いないでしょう。
料理は目でも味わうもの。
お気に入りの波佐見焼を使うことで、毎日の食卓はとてもハッピーな気持ちになるのです!
【波佐見焼の魅力】2.丈夫で扱いやすい
波佐見焼は、主原料にガラス質を含んだ白色の天草陶石を細かく砕いたものを使用しています。この天草陶石が、波佐見焼の透き通るような白さの秘密なのです。
磁器を焼き上げるとガラスのように固くなり、吸水性がほとんどありませんので、食べ物の色うつりを心配する必要がありません。さらに硬くて丈夫で割れにくく、陶器よりも扱いやすいというメリットがあります。
波佐見町は小中学校の学校給食をいち早く導入した町で、給食食器には丈夫で割れにくい波佐見焼が取り入れられています。
当初の磁気食器では重く厚みがあり、子供たちの使用には向いていませんでした。そこで町内の長崎県窯業技術センターや各メーカーなどがひとつになり、知識や技術を合わせることで波佐見焼の給食食器は開発されるのです。
目指したものは、できるだけ薄く軽く丈夫な磁器。
そうして何度も試行錯誤を繰り返し1987年についに誕生したのが、通常の磁器と比べて約3倍の強度がある「ワレニッカ」でした。
その後もワレニッカは進化をし続け、そのたびに「ハサミ・スクール・ウェア」「セーフティーわん」と名前を変えていますが、今では全国各地の学校からしばしば問い合わせがあるそうです。
強化磁器食器でも、派手に落としてしまうと当たり前に割れてしまいます。
そのため、小さい子供がいる家庭では割れる器の使用を避けることが多いのではないでしょうか。
しかし、子どもに磁器食器を利用させることで、子供のお皿を丁寧に扱う気持ちや注意力を養うことができます。
また、食品の色やニオイうつりがしないので、衛生的な面でも利点があります。
丈夫で扱いやすい波佐見焼を、子どもの食育に役立ててみてはいかがでしょうか。
【波佐見焼の魅力】3.手頃なのに高品質
江戸時代、「磁器食器は高級で庶民には手が出ないもの」と認識されていました。
そんな中、少し荒い磁器の素地と簡易な絵付けで作られた「くらわんか碗」と呼ばれる磁器食器が安価で手に入るようになり、庶民が毎日使う食器として爆発的な人気を得ることに……
そして、何を隠そう、この「くらわんか碗」の一大産地が、波佐見町なのです。
「くらわんか碗」の由来は、江戸時代に小舟に乗った商人が、大阪の淀川を往来する大型船の乗客向けの食べ物や酒を磁器碗に盛って「餅くらわんか、酒くらわんか」と声をかけていたことから呼ばれるようになったとのこと。
これまでの認識を変え食文化に大きく影響を与えた「くらわんか碗」は、今なお、名前を残し現代に馴染んだ形で受け継がれています。
くらわんか椀のように、波佐見焼が手頃な価格であるのに高品質な器を作ることができる理由は、型づくり・生地づくり・施釉・窯焼き・上絵づくりなどの各工程を分業制にしているから。
一人で初めから最後までを仕上げるにはかなりの時間と労力、それに対する価格が上乗せされてしまいます。しかし、波佐見焼は工程を分業にすることで手頃なのに、プロの技が光る高品質な器を生産することができるのです。
波佐見焼の歴史と今
波佐見焼は今から約400年前の慶長3年、豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に、文禄・慶長の役で出陣した大村藩主の大村喜前が連れ帰った朝鮮人の陶工たちが、陶器の生産をおこなったことが始まりです。そののち、磁器の原料が見つかったことから、磁器生産に移行していったことがわかっています。
もともと波佐見焼は「有田焼」として流通していました。しかし、2004年に起こった産地偽装問題により、有田焼として流通させることができなくなってしまうことに。
波佐見焼の名前は当時あまり知られておらず、流通量が激減し窮地に立たされた波佐見町の人々でしたが、町全体が一枚岩となって波佐見町をブランド化していくことに挑戦しました。
時代の求める声に合わせて、新たなものを受け入れつつ伝統を守り抜く。こうして、波佐見町全体をブランド化することに成功した「波佐見ブランド」は、日本だけではなく海外からも注目をされる存在に成長しました。
今あるものだけにとらわれずに、変化し進化する姿勢が波佐見町をここまで人気にすることができたのではないでしょうか。
波佐見焼の代表的なブランド
波佐見焼には数々の有名なブランドがあります。いくつもの器がグッドデザイン賞を受賞しており、どの器もとても魅力的。
「実用性のあるものを長く使ってもらいたい」という気持ちがどの波佐見焼のブランドからも感じ取ることができます。
私も家で使う器のほとんどは波佐見焼を使用しているのですが、とても使いやすいですし、手にしっくり馴染む感じがあり、とても丈夫ですよ。
こちらでは、波佐見焼の代表的なブランドを3つご紹介していきます。
HASAMI
HASAMIは陶磁器メーカー有限会社マルヒロのブランドのひとつです。
愛着を持って使われ、使い古されることを目指し「道具としての陶磁器づくり」をおこなっています。
白山陶器
白山陶器は「使いやすく生活になじむ」ことをイメージしながら、時代を超えてスタンダードであり続ける器づくりに取り組んでいます。
Common
CommonはSAIKAIグループのブランドのひとつです。
地域や時代にも左右されないどんな空間とも調和する普遍性のある器を目指して作られています。
まとめ
波佐見焼の魅力について以下のとおり紹介してきました。
波佐見焼は毎日使う器に最適です。
手に馴染みやすく、色うつりやニオイうつりもほぼありませんし、お気に入りを長く愛用したい方にはうってつけの器ではないでしょうか。
今回は3つのブランドしかご案内できませんでしたが、どのブランドもそれぞれの思いを込めて作られている素敵な器ばかり。
毎日の食卓をちょっとハッピーにしてくれる波佐見焼を取り入れてみてはいかがでしょうか?